障害者制度改革の推進のための基本的な方向(第二次意見)
(平成22年12月17日障がい者制度改革推進会議)(抄)
4)健康、医療
(推進会議の問題認識)
(前略)
【人権尊重の観点からの精神医療の体制整備】
精神障害者への医療サービスは、精神医療のニーズを十分に精査し、必要最低限かつ適正な数の病床数への削減を行い、急性期・重症患者等への医療の 充実を図るとともに、入院を要しない精神障害者への地域での医療提供体制を確保する必要がある。その際には、人権への理解を含め高い資質を備えた者に よる医療サービス提供体制が確保されなければならない。
また、入院及び隔離拘束の際の保護者に代わる公的機関(司法の関与を含む。)の責任が明記されなければならない。
更に、苦情処理、権利擁護等を行う第三者機関による新たな監視システムが必要である。
今後、これまでの病院への入院を主体とする施策を転換し、人権擁護に基づいた地域に根差した精神医療体制を構築すべきである。
また、精神障害者及び家族に対して、病状及び治療方針等の情報が十分に提供されなければならない。
以上を踏まえ、基本法には次の観点を盛り込むべきである。
(前略)
・人権尊重の観点を踏まえた適切な精神医療の体制整備が図られること。
6)精神障害者にかかる地域移行の促進と医療における適正手続きの確保
(推進会議の問題認識)
障害者施策のなかでも、従来の精神障害者施策においては、保護と収容に重きが置かれてきたことを背景として、いわゆる「社会的入院」患者が推定で7万 人いると言われる状況が存続している。
また、精神障害者の非自発的入院に関する現行制度は、措置入院、医療保護入院等の入院形態や「保護者制度」も含め、自由を剥奪することなく本人の自 己決定権を尊重すべきであることや家族の負担の軽減等の観点から大きな問題を含んでいる。
精神障害者施策をめぐるこうした諸課題の解決には、退院促進や地域生活支援のサービスが有機的に連携して提供され、社会的入院を解消して地域社会で 生活できるよう現状からの具体的かつ速やかな移行の仕組みが構築されなければならない。
同時に、自らの選択により医療を受けることが基本であることを再確認するとともに、入院しなくても治療が地域で受けられる体制の整備により、入院を選択せ ずに治療を受けられるようにするなど自らの意思に基づく入院自体が必要最小限になるよう図り、制度上の問題を多く含んでいる現行の精神保健福祉法及び 医療観察法については、その廃止を含め抜本的に見直し、非自発的な医療が提供される場合には適正な手続が確保されるようにする必要がある。
【社会的入院の解消】
精神障害者が長期間にわたり病院の閉鎖された空間での生活を強いられる制度設計がなされてきたことを踏まえ、国の責務として、精神障害者が地域社会で の自立した生活へと移行することを支援し、地域社会へのインクルージョンを実現していくことが喫緊の課題となっていることにかんがみ、以下の施策を展開して いくことが必要である。
精神障害者及び家族への地域生活支援に関する十分な情報の提供。
精神医療は、地域に根差した医療体制を基本とすること。地域支援を含む不安や困難に対する常時利用可能な相談支援を24時間365日提供可能な体制の整 備。
この仕組みを構築するに当たっては、地域社会で生活を営むことを基本としてサービスが提供されなければならない。
【非自発的医療に係る人権尊重の観点からの適正手続の確保等】
精神障害者に係る非自発的な入院や医療上の処遇については、人権の尊重を徹底する観点から、適正な手続を確保することが不可欠である。特に、以下の点 が重要である。
・非自発的な入院、隔離拘束等が行われる場合に、障害者権利条約を踏まえ、人権尊重の観点から、自らの判断と選択による医療の利用が基本 であることにかんがみ、非自発的な(本人の意に反した又は本人の意思を確認することができない状態における)入院の際の他の者との平等に基 づく具体的な適正手続の在り方を明確化するとともに、第三者機関による監視等を含め、現行制度を大幅に見直し新たな仕組みを構築すること。
・医療保護入院に係る同意を含む現行の「保護者制度」を抜本的に見直すことが必要である。すなわち、現行の医療保護入院制度を廃止し、公的 機関がその役割を適切に果たすよう新たな仕組みを構築すること。
・精神疾患を有する者の、急性期・重症患者等入院ニーズを精査した上での必要精神病床数を算出し、それを超えて現存する精神病床について は、国の責務で削減を行い、それに代わる地域での医療体制を構築すること。
以上を踏まえ、基本法には次の観点を盛り込むべきである。
・すべての精神障害者が強制的な入院を受けることなく、地域社会において必要な支援を受けながら自立した生活を営む権利があることを確認し、 その実現のため、国及び地方公共団体は、入院によらない医療の提供を含め、必要な生活支援のための施策を講ずるとともに、精神病床数が必 要最小限となるよう計画的な削減を促進すべきであること。
・自らの判断と選択による精神医療の利用が基本であるとともに、例外的に非自発的な医療が行われる場合には、基本的人権を尊重する観点に 基づき、厳密で適正な手続が確保されること。
・これと並行して、国は、保護者制度について見直し、これに代わる公的機関の関与する制度とすることを含め、適正な手続を確保するための制度 を整備すること。
(基本法改正に当たって政府に求める事項に関する意見)
○ 精神障害者の社会的入院を解消し、強制的措置を可能な限り無くすため、精神病床数の削減その他地域移行に関する措置を計画的に推進し、 家族に特別に加重された責任を負わせることなく、地域社会において必要な支援を受けながら自立した生活を送れるよう通院及び在宅医療のた めの体制整備を含め必要な施策を講ずること。
○ 障害者に対する非自発的な入院その他の本人の意思に基づかない隔離拘束を伴う例外的な医療の提供に際しては、基本的人権の尊重の観 点に基づき、当該医療を受ける障害者に対して、障害のない人との平等を基礎とした実効性のある適正手続を保障する制度を整備すること。
吹田市厚生労働省|社会・援護局障害保健福祉部|精神保健医療福祉について高齢者。老人ホーム
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